パワエレ学生の備忘録

電気電子,パワエレ(特にスイッチング電源やモータ),制御工学や趣味に関すること,を赴くままに綴る,便所の落書きのようなところ/保有資格:第三種電気主任技術者,第一種電気工事士

パワエレで用いる座標変換行列について

 モータ制御の勉強をしていて,α-β座標からd-q座標へ変換する回転行列の定義が数学の線形代数で登場する回転行列と逆だったので驚いた.

 忘れないようにメモしておく.

 

 まず,数学で登場する回転行列\(\bf{R}_{\rm m}\)は,

$$\bf{R}_{\rm m} = \begin{pmatrix} \cos \theta & -\sin \theta \\ \sin \theta & \cos \theta \end{pmatrix}$$

で与えられる.

 一方で,モータ制御で用いる回転行列\({\bf R}_{\alpha d}\)は,

$$ {\bf R}_{\alpha d} = \begin{pmatrix} \cos \theta & \sin \theta \\ -\sin \theta & \cos \theta \end{pmatrix}$$

となっており,先程の定義とちょうど逆行列の関係になっている.

 

 これは,前者の行列は「ベクトル」を回転させているのに対して,後者の行列は「座標を回転させているからである.

 つまり,\({\bf R}_{\alpha d}\)により,座標を\(\theta\)だけ回転させることは,α-β座標において定義されたベクトルを\(-\theta\)だけ相対的に回転させていることになる.

 図で表せば,下図のようになる.左が座標系を回転させたもの,右がベクトルを回転させたものだが,両者は等価である.

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座標変換行列の解釈