【古典制御】安定判別法 番外編(偏角の原理アニメーション)
Nyquisの安定判別法で登場した,偏角の原理について説明するアニメーションを作成した.
対象となる極と零点を囲むような曲線上に沿って,変数を変化させたときの写像の振る舞いを示すものになっている.
参考までに,偏角の原理をおさらい:
偏角の原理
\( C\)を複素閉右半平面\( \mathbb{C}\)内の区分的に連続微分可能な単純閉曲線であり,反時計回りの方向に動くものとする.
このとき, \( C\)の内側にある\( f\)の零点および極の個数を, 重複するものも数えてそれぞれ\( N, P\)とする.
また,\( f\)は \( C\)上で極も零点も持たないとする. このとき,
$$ \oint_{C}\frac{f'(s)}{f(s)}ds = 2\pi j(N-P) $$
が成り立つ.
例えば,
$$w(z) = \frac{1}{z-(1+j)}$$
なる写像が与えられ,\(z\)は\(1+j\)を囲むような経路(例えば,\(1+j\)を中心とした円)を反時計回りにたどったとき,\(w\)は,原点を中心にして1回だけ時計回りに回るはずである.
これを,下記のgifを見て確認しよう:
(左:z,右写像w(z))
確かに極の周りを反時計回りに一回回ると,その写像は原点周りを時計回りに一周していることがわかる.
次に,零点を回る様子を見てみよう.
今度は写像も同じ方向に回るようになった.
では,経路中に,極と零点とがそれぞれ1つづつ存在したらどうだろうか.
写像は原点を囲まなくなってしまった.これは,偏角の原理右辺より,\(N-P\)でそれぞれ極と零点とが回転数を相殺しているからである.なお,座標が一致していても一致していなくても回転数は同じ結果になるが,当然ながら,写像そのものは異なる結果になる.
ベクトル軌跡がリアルタイムで見れるのは,作っててすごい楽しかった.
今のところ,経路上に特異点があった場合の例外処理は実装していないが,実用上は必要になるので,実装していきたい.