地絡検出②EVTの動作原理
前記事(地絡検出①ZPDの動作原理 - 便所の落書き)にてZPDの動作原理を解説しました.今度はEVTについて紹介します.
EVTとは正式には,接地計器用変圧器(Earthed Voltage Tran-sformer)と言い,ZPDと同じく,地絡検出を目的に使用されます.
EVTの動作原理
考え方自体はZPDと全く同じです.三相交流平衡電源の対地電圧は全相健全であればそのフェーザの総和は零になる,という零相電圧の考え方です.すなわち,
$$\sum e = e_{uv} + e_{vw} + e_{wu} = 0.$$
EVTは下図のように接続して使用されます.
はそれぞれ,と電磁結合していて,変圧器になっています.
このように,2次側を直列に接続することによって,には零相電圧が発生します.
一線地絡時,例えばU相が地絡した場合,その等価回路は下図のように描き直すことができます.
U相のEVT1次巻線は短絡されることになり,電圧は印加されないことになります.従って2次巻線に電圧は発生せず,にはV,W相の電圧のみが加算されます.したがって,総和が非零になります.
この時のにはUV,UW相の対地電圧が印加されることになります.つまり,
となり,
なので,巻線比をとすると,
と計算できます.