便所の落書き

電気の知識を赴くままに...

地絡検出①ZPDの動作原理

地絡を検出する方法はいくつかある.

 

地絡検出(方向は検出しない)

①ZPDを用いる(零相電圧)

②EVTを用いる(零相電圧)

③ZCTを用いる(零相電流)

これの他に,零相電圧電流を同時に検出して地絡方向を検出する,「地絡方向継電器」もある. 

今回はZPDを用いた地絡検出について記述する.

 

 

健全状態の場合

三相交流平衡電源の対地・線間電圧フェーザーは非接地の場合,全相健全であれば下図の通りとなる:

f:id:ENOTYAMA:20171125224045p:plain

集中定数回路では上図の通りになることは自明ではない.

送電回路においてはケーブルの対地静電容量も考慮した分布定数回路で表現することが一般的であり,次の回路のようになる.

f:id:ENOTYAMA:20171125225628p:plain

対地静電容量は同じケーブルを用いていればほぼ同じ値となり,電源も三相平衡していることから,対地電圧は上のフェーザー図のようになることが分かる.

 

ちなみに,三相対地電圧の総和は0である.この総和を零相電圧と呼ぶ.

 

一線地絡状態の場合

ここでU相が地絡したことを想定すると,回路としては下図のようになる.

f:id:ENOTYAMA:20171125230203p:plain

対地電圧フェーザ図:

f:id:ENOTYAMA:20171125230812p:plain

上図より,U相が地絡していることで,V,W相の対地電圧は上昇していることがわかる.

 このとき零相電圧は,

 \displaystyle \vec{E_0} = \left( \vec{E_V}-\vec{E_N} \right) + \left( \vec{E_W}-\vec{E_N} \right) 

を計算すればよく,ここに,

 \displaystyle \vec{E_V}-\vec{E_N} = E\left( \varepsilon ^{-j \frac{2}{3}\pi} - \varepsilon ^{-j0}\right) = E\left( -\frac{3}{2} -j\frac{\sqrt{3}}{2}\right)

 \displaystyle \vec{E_W}-\vec{E_N} = E\left( \varepsilon ^{-j \frac{4}{3}\pi} - \varepsilon ^{-j0}\right) = E\left( -\frac{3}{2} +j\frac{\sqrt{3}}{2}\right)

であるので,

 \displaystyle \vec{E_0} = -3E 

 となる.

以上より,零相電圧が検出できれば地絡検出ができるということが分かる.

 

ZPDの原理

ZPDは下図のように接続して使用する.

f:id:ENOTYAMA:20171126191705p:plain

一線地絡が発生したとき,ZPDのY1-Y2間に発生する零相電圧を検出することで地絡を検出することができる.では実際,どのような振る舞いをするのだろうか.

健全状態の場合

ひとまずTr部を排除して等価回路を描き直す:

f:id:ENOTYAMA:20171126192440p:plain

このとき E_0は電圧・負荷ともに平衡しているため,0である.

一線地絡状態の場合

一線地絡したときの等価回路は,

f:id:ENOTYAMA:20171126192646p:plain

となる.明らかに不平衡しているので, E_0は0ではないことがわかる.

さて,次に実際に計算してみることになるが,とりあえず一旦ここで休憩...

[2017/11/28追記]

回路を次のようにすれば少し考えやすくなるだろう.

f:id:ENOTYAMA:20171127221935p:plain

さらにこれをTheveninの定理を用いて考えれば,以下のように書き直すことができる.

f:id:ENOTYAMA:20171127231306p:plain

後は, V_0 Z_0を教科書通りに求めれば E_0が導け,一線地絡時の零相電圧が求まる.